経営理念とは何か?
「経営理念」と聞くと、大企業が作るものだと思われがちですが、実際にはどんな規模の会社でも重要な役割を果たしています。経営理念とは、企業経営における基本的な価値観・精神・信念あるいは行動基準を表明したものです。これは、「うちはこういう考え方・こんな方針で会社をやっていくよ」ということを言葉にしたものですね。
経営理念の変遷とその意義
経営理念は、時代とともに変化してきました。1960年代は自戒型、1960〜1980年代は規範型、1990年代以降は方針型となっており、対象が拡がっていることがわかります。これは、産業が複雑化し、交通網やインターネットの発展で小さな会社であっても多くの人に支えられて活動が成り立つ状況に変化していったことが原因のひとつだと考えられます。
類型 | 性質 | 対象 | 中心年代 |
---|---|---|---|
自戒型 | 倫理的・道徳的性格を強く持つ | 経営者個人 | 1960年代 |
規範型 | 社員の統率・統制的性格を強く持つ | 社員 | 1960〜1980年代 |
方針型 | 社会への訴求、戦略的性格を強く持つ | ステークホルダー | 1990年代〜 |
経営理念を活かす事例
経営理念が企業の経営判断と現場をつなぐ大事な役割を担っていることを示す事例として、京都で製造業を営むHILLTOP株式会社があります。同社は、「理解と寛容を以て人を育てる」を経営理念に置いており、これを活かした様々な取り組みによって人材採用で多くのエントリーを獲得しています。

ブランディングと経営理念の関係
経営理念を作ったまま、飾ったままにしないために行うのがブランディングです。競合と簡単に比較できてしまう今、「なぜ、この事業をやっているのか」をしっかりと見つめることで足場を固め、自社ならではの価値を表現していくことが重要だと確信しています。新規事業を始める前や売上が伸び悩んでいるときは、経営理念を考え直すことも検討していただくと良いかもしれません。
経営理念の見直しと策定方法
経営理念を見直す際には、以下のステップを踏むと効果的です。
- 現状の経営理念を評価する
- 企業の強みや目標を明確にする
- 従業員やステークホルダーと協働して新しい経営理念を策定する
- 経営理念を浸透させ、意思決定や行動の指針とする
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経営理念を活かしたブランディング戦略
経営理念を活かしたブランディング戦略を実践するためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 経営理念を明確に伝える: ウェブサイトやパンフレットなどの広報資料に経営理念を明記し、従業員や顧客に伝えることが重要です。
- 経営理念に基づいた製品・サービスの開発: 企業の価値観や目標に沿った製品・サービスを提供することで、ブランドイメージを強化できます。
- 経営理念を体現する企業文化の醸成: 経営理念を従業員の行動指針とし、企業文化を築くことで、内外からの評価が向上します。
まとめ
経営理念は、どんな規模の会社でも重要な役割を果たしています。時代が進むほど経営理念の対象が拡がり、小さな会社でも多くの人に支えられる状況に変化しています。経営理念を活かしたブランディング戦略を実践することで、企業価値を高め、競争力を向上させることができます。新規事業を始める前や売上が伸び悩んでいるときは、経営理念を見直し、ブランディング戦略に取り組むことを検討してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【参考文献】
鳥羽欽一郎,浅野俊光 [1984]「戦後日本の経営理念とその変化 経営理念調査を手がかりとして」『組織科学』Vol.18 No.2 37-51
横川雅人 [2010]「現代日本企業の経営理念―“経営理念の上場企業実態調査”を踏まえて―」 関西学院大学 産業研究所『産研論集』37 125-137
伊吹英子,古西幸登 [2022]「ケースでわかる 実践パーパス経営」日経BP