30名以下の中小企業にもブランディングは必要?4つの課題と効果的なブランディング戦略を解説!

「従業員30名に満たない中小企業も企業ブランディングはすべき?」
「中小企業がブランディングをする際につまづきやすい課題は?」
「顧客の心を掴むための効果的なブランディング戦略が知りたい」
このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

中小企業においても企業ブランディングをすることで知名度の向上や会社の方向性の明確化など多くのメリットが得られます。しかし、中小企業の場合は、大企業とは異なる戦略アプローチが必要となることをご存知でしょうか。

本記事では、中小企業が企業ブランディングの際に躓きやすい課題や効果的なブランディング戦略を解説します。また、ブランディング戦略に成功した企業の事例も紹介します。

中小企業もブランディングすべき?

創業まもない中小企業の経営者の中には「そもそも企業ブランディングは必要なのだろうか?」と疑問を持たれる方もいます。

自社独自の企業ブランディングを確立することで、市場における差別化や顧客からの信頼の向上につながります。

ブランディングと聞くと大企業が行うものと考える方もいますが、限られた予算や人員で事業を行わなければならない中小企業にこそ企業ブランディングは重要なのです。

大企業と中小企業のブランディングの違いについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

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そもそもブランディングとは?

ブランディングとは、企業や製品の価値、イメージを消費者に対して一貫して伝える活動のことを指します。

企業経営をしていく中で会社として消費者にこう思われたいと考えても、消費者は会社の意図とは違ったイメージを持つことは少なくありません。

また、消費者だけでなく企業で働く社員によっても会社のイメージがバラバラであると、これから進んでいくべき方向が一致せずより良い企業経営にはつながりません。

ブランディングとは、会社として「こうありたい姿」を明確に消費者に伝えることで消費者が持つイメージとのギャップを無くしてポジティブな感情を持ってもらう役割があるのです。

企業ブランディングは大きく分けて「エクスターナルブランディング」と「インターナルブランディング」の2つのタイプに分類できます。それぞれの特徴を確認していきます。

エクスターナルブランディング

エクスターナルブランディングとは、外側のブランディングと呼ばれることがあります。

エクスターナルブランディングでは、消費者や取引先など外部の顧客を対象に会社に対するイメージを持ってもらい関係性を深めていきます。

広告やプロモーション活動を通じて企業の理念や製品の価値をいかに顧客にイメージさせられるかがエクスターナルブランディングの重要なポイントとなります。

インターナルブランディング

一方で、インターナルブランディングとは企業の内部(従業員、ステークホルダー)に向けたブランディング活動のことです。

企業のビジョンや価値観を従業員やステークホルダーが理解し、同じ方向性を持って仕事に取り組めるようにしていきます。

エクスターナルブランディングとインターナルブランディングは「誰に向けてブランディング活動を行うか」が大きな違いとなるのです。

中小企業がブランディングすべき理由

ライバル企業と同じような商品を販売する場合、消費者に自社商品を選んでもらうために競合他社と差別化を図る必要があります。

特にライバル企業が大企業の場合では予算面で太刀打ちが難しいため、企業イメージで商品やサービスを購入してもらわなければなりません。

近年ではインターネットの普及に伴い中小企業でも簡単にホームページを作り、SEOやSNSを駆使して低予算かつ気軽に企業のブランドイメージを作れるようになりました。

自社企業のイメージを消費者に理解してもらい、ライバル企業との企業競争に勝ち抜いていくためにも中小企業こそ企業ブランディングに取り組むべきなのです。

中小企業がブランディング活動でつまづきやすい課題

中小企業がブランディング活動をする際に躓きやすい4つの課題を紹介します。

  • さまざまな事業をやっていてブランドイメージが固まらない
  • 全ての潜在顧客から認知されてようとしてしまう
  • 予算に限りがある
  • ブランディング活動の仕方がわからない

効果的なブランディング戦略を立案するためには、あらかじめ中小企業が抱えやすい課題を理解しておくことが重要です。それぞれ確認していきましょう。

課題①:さまざまな事業をやっていてブランドイメージが固まらない

中小企業では、多角的にビジネスを展開していることが少なくありません。

ビジネスの多角化は新たな収益源を増やすために必要ではありますが、企業のブランドイメージが定まらない原因にもつながります。

企業のブランドイメージが固まらないと顧客が企業の特色を理解できず、その他多数の企業との違いがわからなくなります。

さまざまな事業を行うと収入の多角化が図れる反面、どの事業に力を入れるべきか曖昧になり企業ブランディングが立てられないことに課題を抱える場合があるのです。

課題②:全ての潜在顧客から認知されようとしてしまう

中小企業はブランディング活動をする際に、すべての潜在顧客に対して自分たちの製品やサービスを知ってもらいたいと考える傾向があります。

しかし、全ての消費者に企業ブランディングを届けようとすると、メッセージが一般的になりがちで、特定の層に深く刺さらなくなります。

結果として、せっかくのブランディング活動が効果を発揮しないまま終わる可能性があるのです。

不特定多数の消費者に対するマーケティング活動は、すでに大手企業が行っているケースがほとんどです。

会社のブランディング理念にあった特定のターゲットに認知されるようにマーケティング活動をすることで会社のブランディング理念にあった顧客の獲得につながります。

課題③:予算に限りがある

中小企業は、限られた予算で効果的なブランディング活動を行わなければなりません。

大企業のように潤沢な広告費を投入できないため、効率的に資金を運用することが求められます。

予算の制限は中小企業が新しい市場への進出や認知度向上のためのキャンペーンを打つことをためらわせる要因となります。

限られた予算内で最大の効果を生む戦略をいかに立案するかも中小企業のブランディング戦略の課題です。

課題④:ブランディング活動の仕方がわからない

会社を創業したばかりの経営者にとって、どのようにしてブランディング活動を行うべきか理解できていないケースもよくある課題です。

販売する商品やサービスについての専門性が高くてもブランディング活動がうまくできなければ会社のブランド力は高まりません。

特にブランディング戦略は多くの人が慣れ親しんでいない分野であるため、なにから手をつけて良いのかすら分からないケースも少なくありません。

そのような場合では、ただ予算を注ぎ込むだけで効果を得られない場合もあるのです。

効果的なブランディング戦略

中小企業が社内外に企業のイメージを明確に持ってもらうための効果的なブランディング戦略を紹介します。

  • ブランディングイメージを言葉にしておく
  • 見込み客をターゲットにしたブランディング活動を行う
  • Webマーケティングを活用する
  • ブランディングコンサル会社のサポートを受ける

それぞれの戦略を駆使して企業のブランド理念を顧客に定着させましょう。

ブランディングイメージを言葉にしておく

効果的なブランディング戦略の第一歩として、自社のブランドイメージを明確に言葉にすることが重要です。

特に、会社経営をしていると事業の進め方についてさまざまな感情が湧いてきます。

その際に、感情に左右されてブランディング活動にブレが生じてしまう企業も少なくありません。

ブランディングイメージを明確に言葉にしておくことで、感情に左右されずにブランディング活動を遂行できます。

見込み客をターゲットにしたブランディング活動を行う

ブランディング活動を成功させるためには、企業ブランドをもとに特定の見込み客をターゲットにすることが重要です。

特定の見込み客をターゲットにすることで、それぞれの顧客にささる具体的で魅力的なメッセージを届けることができます。

その結果、大企業がアプローチできていない顧客を自社のファンにすることができます。

また、見込み客を明確に絞ることで、無駄に広告を打たなくてもよくなり費用の削減にもつながるでしょう。

Webマーケティングを活用する

デジタル化の促進により、日常生活の中でインターネットを利用することが当たり前の時代となりました。

そのため、現代のビジネスシーンにおいて企業の認知度拡大のためにWebマーケティングの活用は重要な役割を担います。

SEO対策を施した自社サイトの運営やSNSでの情報発信を通じて、効率的にターゲット層へアプローチすることが可能です。

InstagramやXの運用は自社で内製化することも難しくないため広告を出すような大きな費用も不要です。

Webマーケティングを取り入れることで予算が少ない中小企業でも効果的にブランディング活動を行うことができます。

ブランディングコンサル会社のサポートを受ける

ブランディングにおいては、専門の知見を持つコンサル会社のサポートを受けることも成功の近道です。

コンサル会社は市場のトレンドや競合状況を熟知しており、的確なアドバイスを提供してくれます。

特に、ブランディング戦略の立て方が全くわからない企業の場合では、手当たり次第に無駄に予算を費やすぐらいなら手厚いサポートを受けられるブランディングのコンサルサポートを受けたほうが費用対効果が高まります。

経験豊富なプロの意見を取り入れることで自社の強みを見つけ効果的に企業ブランディングをすすめることができるでしょう。

なお、なにゆえ株式会社は企業のブランディングのあり方やブランディング戦略の確立のためのコンサルティングを行っています。また、自社商品やサービスを知ってもらうためのWebマーケティング支援も行なっているため企業ブランディングに力を入れたい企業様は以下よりお問い合わせください。

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中小企業が企業ブランディングを進める際の5つのステップ

中小企業が企業競争を勝ち抜き成長を続けるためには、企業ブランディングが必要不可欠です。

ここでは、中小企業が効果的に企業ブランディングを行うための5つのステップを紹介します。

これらのステップを通じて、企業のブランド力を高められるよう参考にしてください。

【ステップ1】現状把握

企業ブランディングを行う際に最初に行うべきステップは、企業の現状把握です。

自社が取り扱う商品やサービス、競合の状況など市場調査を行い企業の全体像を確認していきます。

また、自社の強みや弱みを明確にするために、内部の意見を取り入れることも重要です。

市場調査や社内意見を取り入れることで、会社のどの部分をブランド強化すべきかが見えてくるため企業ブランディングの方向性を決定することができます。

【ステップ2】ブランド定義

市場調査や社内意見により現状把握を行うと他社にはない自社独自の強みが見えてきます。

ここで出た強みをもとに企業のブランドの定義を行いましょう。

企業のブランドの定義は会社の存在意義や社会的な価値を世の中に示す軸となります。

ブランド定義は会社の今後を担う重要なものであるため、経営者の趣味嗜好や思いつきで決めずに、しっかりとした調査のもと自社の強みを最大限引き出せるものに決定することが大切です。

【ステップ3】ブランディング戦略の立案

続いて、ブランド定義を具体的な行動に落とし込むための戦略を立案します。

ターゲット市場や顧客層に合わせたプロモーション計画やPR活動、Webを利用したマーケティング活動の方針などを策定します。

また、企業ロゴや商品パッケージなどもブランド理念を最大限表せるようなデザインで計画しましょう。

【ステップ4】運用

ブランディング戦略が決まったら運用に移ります。

ブランディング戦略を実行する際は、ただ広告をうつだけでなくいかに企業ブランディングにつながるか検討しながらすすめることが大切です。

また、顧客からの意見を参考にしながら柔軟にブランディング戦略を調整していくことも求められます。

【ステップ5】検証

運用後に必ず行わなければならないのが検証です。

定期的にアンケートや市場調査を行いどの程度消費者にブランディングが受け入れられたのか効果を検証し目標達成度を評価します。

また、検証・評価をもとに改善すべきポイントを明確にし、PDCAを回していきましょう。企業ブランディングの定着のためには粘り強くブランディング活動を行う必要があります。

また、消費者のニーズは時代によっても移り変わるため定期的に企業のブランドのアピールポイントを変えていくことも大切です。

中小企業がブランディングするメリット

中小企業がブランディングを行うことで得られる主なメリットは以下の5つです。

  • 会社が進むべき方向性が明確になる
  • 売上の向上につながる
  • 採用活動に有利に働く
  • 社員の定着につながる
  • 競合他社との差別化が図れる

中小企業のブランディング活動は単に知名度の向上にとどまらず、企業の一貫した成長戦略として機能します。それぞれのメリットを確認していきます。

メリット①:会社が進むべき方向性が明確になる

中小企業がブランディングを作成する際は、必ず「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を定めます。

これら3つが明確に定まることで会社としても進むべき方向性や取り組むべき業務が明確になります。

また、会社の方向性が定まることで経営陣と社員全員が今後の会社の在り方や自身に求められる役割を把握できます。

ブランドの核心が明確になることで日々の意思決定やプロジェクトの推進においてもブレが少なくなり、確実な成果に結びつくことでしょう。

メリット②:売上の向上につながる

会社のブランディングに成功することで市場における消費者の認知度が高まります。

消費者を惹きつけるブランド理念が広まることで、リピート率の向上や新規顧客の獲得が期待できます。

その結果、会社の商品やサービスの購入につながるため、売上が伸びにつながります

また、ブランド力のある商品やサービスは競合他社の価格競争に巻き込まれることが少なく、価値に見合う価格設定で商品を販売することができます。

メリット③:採用活動に有利に働く

ブランド力が高く認知度のある企業は、求職者にとっても魅力的です。

会社のブランド価値が認識されていることで、その企業で働くことへの期待感や信頼感が生まれます。

ブランディングを通じて企業の価値観やビジョンが明確であれば、志を同じくする優秀な人材を引きつけやすくなります。

これにより、採用活動がスムーズに進み人材の質向上が期待できます。

メリット④:社員の定着につながる

高いブランドは社員にとって誇りとなり、企業へのロイヤリティが高まります。

自らが所属する企業のブランド価値を理解し、日々の業務の中でその価値を実感することにより、社員のモチベーションが向上します。

その結果、社員の離職率が低下し企業の持続的成長が可能となるのです。

また、ブランディング戦略が練られた会社は社員一人ひとりに求められる業務も明確となっているためやりがいがなく退職する社員も減少します。

メリット⑤:競合他社との差別化が図れる

ブランディングを通じて自社商品やサービスの独自の価値を明確にすることにより、競合他社との差別化が可能になります。

市場での独自のポジションを確立すれば、価格だけではない価値で顧客にアピールでき消費者の購買意欲を高めることができます。

特に中小企業においては大企業に資金面で勝てない分、ユニークなブランド価値が競合他社との差を生み出すことにつながります。

中小企業のブランディング成功事例

ブランディング活動に成功した中小企業の事例を2つ紹介します。

  • ヘルスケア商品製造業の成功事例
  • アパレル業の成功事例

それぞれの成功事例を参考にして、自社のブランディング戦略立案に役立ててください。

成功事例①:ヘアケア商品製造業A社

ヘアケア商品製造業A社は、シャンプーなどのヘアケア商品の製造販売を手掛ける大阪に本拠地を置く小さな会社です。

これまで、シャンプーなどのヘアケア商品は資生堂や花王など大手企業のブランドイメージが強く他の企業が太刀打ちできない業界でした。

そのようななかで、A社は植物由来の原料に徹底的にこだわったシャンプー作りに力を入れ、「植物と共に生きる」というブランド理念を掲げました。

その結果、自然由来のヘアケアブランド会社としての地位を築きヘアケア業界に堂々とした地位を築き上げたのです。

現在も大手企業のような広告宣伝やCM放送はほとんど行わず、低予算でブランディング活動が行えるInstagramなどのSNSを中心とした商品のPRを行い若者層からの支持を得ています。

成功事例②:アウトドア用品製造業B社

アウトドア用品製造業のB社はアウトドア用品を製造して販売するアメリカの企業です。

アメリカでアウトドア用品といえばザ・ノースフェイスやL.L.Beanなどの大手企業が市場を占めている状況にありました。

創業当初は店舗数も少なく大手アウトドア用品販売会社と比べると完全に見劣りしている存在でした。

そのようななかで、B社は「アウトドア用品を作り販売することで貧困に苦しむ人々を助ける」というブランド理念を掲げました。

B社は貧しい人々を支援する会社という企業ブランドを確立し、消費者に対して大手企業に負けない存在感を与えることに成功したのです。

アウトドア用品の製造の背景にある「ストーリー」に共感する方々からの購入量が増加し、売上の向上につながりました。

企業のブランディング戦略を立てて顧客から選ばれる会社を目指そう!

本記事では、中小企業がブランディング活動を行う重要性や抱えやすい課題、効果的なブランディング戦略について解説しました。

顧客にブランディング活動を行い会社のイメージを共有することで競合他社との差別化を図ることができ売上の向上につながります。

また、社内向けのブランディング活動を行うことも従業員の方向性を統一でき、より良い企業経営につながるでしょう。

効果的な企業ブランディング戦略を立てて、社内外で魅力的と思われる企業イメージを作りましょう

山本洋輔|なにゆえ株式会社 代表取締役

1986年生まれ 岐阜県出身。映像制作会社に勤務したのち独立し、のべ500社・1万件以上の様々な媒体・形式のクリエイティブを手掛ける。2014年にドイツ発の解説動画制作会社 simpleshowの日本法人立ち上げ期に参画、上場企業80社以上の解説動画を制作。2017年、幼児教育コンテンツの企画制作を手がける株式会社マルタントン取締役に就任し、マーケティング領域を担当。2022年、なにゆえ株式会社設立。2児の父。東京都多摩市在住。

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