SNSが普及し、消費者の声が可視化されている現代。中小企業にとって口コミ分析は欠かせません。
SNSにポストされている口コミを分析することで、企業は消費者のニーズを把握し、マーケティング戦略に活かすことができます。
本記事では、中小企業が口コミ分析を行う方法、その効果、注意点などを解説します。口コミ分析に役立つおすすめツールも紹介しているので、ぜひ最後までご一読ください。
中小企業がWebマーケティングに取り組むべき5つの理由とは?具体的な施策も合わせて解説!
中小企業が行うべき口コミ分析とは?
口コミ分析とは、SNSや口コミ・レビューサイトなどに投稿されたリアルな声を収集・分析し、マーケティング戦略に役立てる手法です。「ソーシャルリスニング」と呼ばれることもありますが、ソーシャルリスニングは口コミ分析の一部にあたります。
口コミ分析は今や多くの企業が導入している手法で、SNSの利用者の増加にともなって重要度が増しています。2024年にICT総研が行った「2024年度 SNS利用動向に関する調査」によると、”日本のSNS利用者は8,452万人(普及率79%)、2026年末に8,550万人へ拡大”とあり、これからも利用者が増えると予想できるでしょう。
口コミ分析は、一般消費者が日常的に感じたこと、求めていること、何かのサービスや商品に対する率直な意見や感想を知るのに役立ちます。口コミ分析を目的にあわせて活用することで、マーケティング戦略に役立て、売上向上や企業の成長につなげましょう。
参考:2024年度 SNS利用動向に関する調査(ICT総研)
口コミ分析の対象

口コミ分析の重要度が高まっているなかで、どのように口コミを収集すればよいのでしょうか。効果的な口コミ分析の対象には、以下のようなものが挙げられます。
- SNSの投稿
- ECサイトのレビュー
- Q&Aサイト・掲示板
- カスタマーサポートへの問い合わせ・クレーム
それぞれ異なるターゲット層や傾向があるため、複数の情報源から口コミを収集・分析することで、どのような層が何を求めているのかを理解できるでしょう。一つずつ解説します。
SNSの投稿
口コミ分析の対象になるSNSは、X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどです。Xは幅広い年齢層に利用されているSNSであり、開始時当初は投稿を「つぶやき」と呼んでいたとおり、消費者のリアルな声が集まります。文字数が少ないので、投稿頻度が比較的多く即時性があり、拡散力も併せ持つメディアです。
Instagramは、画像や動画の投稿をメインとしており、10代や20代に多く利用されています。近年ではショート動画メインのTikTokが若い世代で主流となりつつあり、Instagramには主婦層や男性インフルエンサーなども増えている傾向です。ビジュアル重視のため、画像・動画で対象のサービスや商品をイメージしやすく、ショッピング機能で購入したサービスや商品の口コミを収集しやすいといえるでしょう。
Facebookは30~50代のビジネスパーソンが多い傾向にあります。実名での投稿中心で、直接的なつながりを対象にした投稿がメインのため、公開範囲が限定されるケースも多いメディアです。その分、情報の精度・信頼性はほかのSNSに比べて高いといえます。
ECサイトのレビュー
自社の運営するECサイトに口コミ投稿機能を設ければ、商品に対するリアルな口コミを収集できます。
一方、ECサイトに口コミ投稿機能がない場合は、専用のレビュー収集ツールを導入したり、購入者に対してレビューを促すメールを送信したりする方法も効果的です。
ECサイトのレビューは、SEOとしての効果も期待できます。口コミが増えることで、商品ページのコンテンツ量が自然に増え、検索結果での評価向上に寄与する可能性があります。
Q&Aサイト・掲示板
Q&Aサイト・口コミサイト・価格比較サイト・レビューサイトなど、インターネット上のさまざまな掲示板から自社の商品やサービスに関する口コミを収集する方法があります。
SNSでは投稿者が一方的に発信するのに対し、掲示板ではユーザー同士の交流があり、意見交換なども活発に行われます。
カスタマーサポートへの問い合わせ・クレーム
カスタマーサポートへの問い合わせ内容・クレームを分析することによって、消費者の直接的かつリアルなニーズ、感想を把握できます。
クレームや問い合わせには、消費者が商品やサービスを利用する過程で感じた不便さや改善してほしい点などが具体的に表れるため、貴重なデータとして役立ちます。
情報を定期的に分析し、改善施策に反映させることで、企業と消費者との信頼関係を強化し、長期的な顧客ロイヤルティの向上が期待できるでしょう。
口コミ分析の効果

ここでは、口コミ分析を行うことによって得られる、3つの主な効果について解説します。
- 消費者の本音がわかる
- 商品・サービスの開発や改善に役立つ
- 競合との差別化戦略に活かせる
本格的な口コミ分析の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
消費者の本音がわかる
口コミ分析をすることによって、企業は消費者のリアルな本音を知ることができます。例えば、ブランドや商品、サービスへのイメージ、実際の使用感など、率直な意見を把握できるでしょう。
従来、消費者の声を知るためにアンケート調査が主に活用されてきました。しかし、口コミ分析では、より多くの不特定多数の意見を収集できる点が特徴です。
また、アンケート調査の場合、消費者が調査を行う企業を意識し、回答時に遠慮や忖度が働くことがあります。それに対し、SNSやレビューサイトに投稿される口コミは、消費者が自由に発信した率直な意見であるため、より本音に近い情報を収集できるという点もメリットです。
商品・サービスの開発や改善に役立つ
口コミ分析で把握した消費者のリアルなニーズや感想によって、より消費者の満足度が上がる商品・サービスの改善、開発に役立てることができます。
例えば、より消費者目線に立った商品・サービスを展開できれば、SNSでポジティブな投稿が広まり、ブランドイメージもよくなるでしょう。当然売上増加も期待でき、企業の成長にもつながります。
競合との差別化戦略に活かせる
口コミ分析は、競合のリサーチにも有効な手法です。競合他社の口コミを分析すれば、消費者が競合商品・サービスをどのように評価しているのか、どのようなイメージを抱いているのかを把握できます。
自社と競合他社の商品・サービスを比較・分析し、自社ならではの強みや改善すべき課題を明確にしましょう。その結果、差別化ポイントを見出し、新たなマーケティング戦略の立案や商品・サービスの改善施策に役立てることができます。
口コミ分析の方法

ここからは、口コミ分析の以下2つの主な方法を紹介します。
- エゴサーチする
- ソーシャルリスニングツールを使用する
何からはじめるべきか迷ったら、ぜひ実践してみてください。
エゴサーチする
すぐに簡単にはじめられる口コミ分析の方法の一つに、エゴサーチがあります。SNSや口コミサイトで自社の商品やサービスを検索し、消費者がそれらにどのような印象を持っているのかをリサーチする方法です。
備えられた検索機能を利用して情報収集できるので、コストがかかりません。ただし、人間の手で行う方法のため、時間と手間がかかります。
ソーシャルリスニングツールを使用する
ソーシャルリスニングツールを使用することで、インターネット上の情報を効率よく効果的に収集・分析できます。
現在、複数の企業がソーシャルリスニングツールを提供しており、機能や価格帯も幅広く存在します。それぞれに特徴があり、自社の目的や予算に応じた選定が重要です。
たとえば、Meltwaterのソーシャルリスニングツールでは、国内だけでなく世界中のSNSやニュースサイト、ブログなど、さまざまな媒体に投稿された自社商品・サービスに関する消費者の意見や評価を収集・分析できる機能を備えています。
どのツールを選ぶかは、自社がどのような情報を求めているか、どこまでの分析を必要としているかによって異なります。導入を検討する際は、複数のサービスを比較し、目的に合ったものを選ぶことが大切です。
口コミ分析の注意点
口コミ分析は、マーケティング戦略の改善に役立ちますが、以下の3点に注意が必要です。
- 分析にコストと時間がかかる
- 口コミが少ないと分析が不正確になる
- ユーザー属性の特定が難しい
口コミ分析を導入する前に、注意点をおさえておきましょう。
分析にコストと時間がかかる
口コミ分析はマーケティング戦略の改善に有効な方法ですが、SNS上の膨大な投稿から必要な口コミをリサーチ、収集、分析する作業のため、時間と手間がかかります。当然担当する人員のリソースも必要であり、その分の人件費がかかるでしょう。
分析には一定のコストと時間がかかることを加味して、人員を確保できない場合には、分析に役立つツールの活用も検討してみるのがおすすめです。ツールの導入にもコストはかかりますが、精度の高さや収集、分析できる情報量を考えると、費用対効果は十分にあるといえるでしょう。
口コミが少ないと分析が不正確になる
口コミの数が少ない場合、評価が偏ってしまう可能性があり、分析が不正確になることが考えられます。
例えば、数件のネガティブな口コミのみしかなかった場合には、あまり参考にできないかもしれません。
ユーザー属性の特定が難しい
SNSや口コミサイトなどは匿名性が高いという特性上、ユーザー属性の特定が難しい面があります。
従来主流であったアンケート調査のように、年齢・性別・職業などの属性が得られる可能性は低いと考えておくとよいでしょう。
まとめ
口コミ分析は、やみくもにマーケティング施策を展開するのではなく、消費者のリアルな声に基づいて戦略を立てるための有効な手法です。消費者が本当に求めるものは何か、どのような商品・サービスが満足度を上げるかを分析し、マーケティング戦略に反映させることで、より多くの顧客の獲得が期待できるでしょう。
口コミ分析の精度と効率を高めるためには、分析ツールの導入がおすすめです。これにより、膨大なデータを短時間で正確に収集・分析でき、マーケティング戦略に必要なインサイトをスムーズに得ることができます。