採用動画の事例を型と効果で読み解く|自社企画への活かし方

採用動画の事例を型と効果で読み解く|自社企画への活かし方

社員が本音をラップにのせてぶつけ合う、桃太郎の「きびだんご」を採用の入口にする——両備システムズの「きびだんご採用」に代表されるように、振り切った企画で話題を集めた採用動画があります。採用動画の事例は、表現の型と効く採用課題の対応で読むと、自社の企画に転用できます。型の分類から効果の根拠、逆効果の境界まで整理します。

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この記事の監修者

山本洋輔|なにゆえ株式会社 代表取締役

日本ブランド経営学会理事|株式会社マルタントン取締役
アビスパ福岡 AVISPA DAOブランドコーディネーター
1986年生まれ 岐阜県出身。映像制作会社に勤務したのち独立し、のべ500社・1万件以上の様々な媒体・形式のクリエイティブを手掛ける。2014年にドイツ発の解説動画制作会社 simpleshowの日本法人立ち上げ期に参画、上場企業80社以上の解説動画を制作。現在はYouTube運営、ビデオポッドキャスト番組プロデュース事業に注力している。2児の父。

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採用動画の事例は「表現の型」と「効く採用課題」で読む

母集団形成・ミスマッチ低減・内定辞退防止の採用課題別に、効く動画の型を対応づけた選び方フロー図
採用課題を1つ決めると効く型が決まる(型の分類は当社の整理、効果の裏付けは採用動画に関する意識調査(2026年)に基づく)

採用動画の事例は、映像の表現手法だけで眺めず、どの採用課題に効くかとセットで読むと自社に転用できます。同じ社員インタビューでも、応募母数を増やしたいのか、入社後のミスマッチを減らしたいのかで、撮るべき内容も動画を置く場所も変わります。まず自社の採用課題を1つ決め、その課題に効いた事例を選ぶ順番が近道です。採用動画の企画から制作までの全体像は、採用動画の企画から制作までの総合ガイドでも整理しています。

事例集を眺めていると、かっこいい映像や凝った企画に目移りしがちです。ただ、他社で成果が出た動画をそのまま真似ても、自社の採用課題とずれていれば効果は出にくくなります。採用動画に関する意識調査(2026年)では、視聴後に志望度が上がった人が78.1%にのぼる一方、下がった人も5.1%存在しました(採用動画に関する意識調査(2026年))。同じ動画という手段でも、中身の設計次第でプラスにもマイナスにも振れます。当社は、事例は「憧れの対象」ではなく「型と課題の対応表」として読むべきだと考えています。

採用動画でよく使われる4つの表現の型

採用動画の事例は、表現手法で見ると大きく4つの型に整理できます。コンセプトムービー、社員インタビュー、密着・ドキュメント、企画もの(面白い系)の4つです。事例集で「テーマ別」「業界別」と並んでいる動画も、この4型のいずれかか組み合わせに落ちます。

コンセプトムービーは、企業の世界観や存在意義を短い映像で象徴的に見せる型です。尺は60〜90秒程度が多く、採用サイトの入口や説明会の冒頭に置かれます。社員インタビューは、働く人の言葉で仕事の実像や人柄を伝えます。質問設計がそのまま伝わる内容を決めるため、聞き手の準備が仕上がりを左右します。密着・ドキュメントは、一日の流れや現場の空気をそのまま映し、入社後のイメージを具体化します。作業の手元や休憩中の会話まで入ると、求人票では出せない情報量になります。企画もの(面白い系)は、ラップやパロディなど意外性のある切り口で、まず見てもらう・話題にしてもらうことを狙います。どの型が優れているかではなく、どの採用課題に効くかで選ぶという視点が出発点になります。

型を採用課題に対応させる(母集団形成・ミスマッチ低減・内定辞退防止)

4つの型を、採用課題(母集団形成・認知/ミスマッチ低減/内定辞退防止・志望度)に対応させると、自社が撮るべき動画が見えてきます。下の表は、表現の型ごとに主に効く採用課題と、狙う効果、向いている企業を当社の視点で整理したものです。事例集にありがちな「見た目のテーマ順」ではなく、課題起点で並べ替えています。

表現の型 主に効く採用課題 狙う効果 向いている企業
コンセプトムービー 母集団形成・認知 世界観で記憶に残す・第一想起をつくる 知名度を上げたい・ブランドで差別化したい
社員インタビュー ミスマッチ低減・志望度 人柄と働く実像を伝える 人で選ばれたい・定着率を上げたい
密着・ドキュメント ミスマッチ低減・内定辞退防止 一日の実態で入社後ギャップを防ぐ 現場のリアルが強み・離職を防ぎたい
企画もの(面白い系) 認知・母集団形成 話題化と拡散で接点を増やす 認知が薄い・母数をまず増やしたい

出典: 型の分類は当社の整理、効果の裏付けは採用動画に関する意識調査(2026年)に基づく(2026年6月時点)。

たとえば応募母数が足りない企業がいきなり丁寧な密着動画を作っても、そもそも見てもらえなければ母集団は増えません。逆に、応募は来るが入社後の早期離職に悩む企業が話題性重視の企画ものを作っても、ミスマッチは減りにくいままです。採用課題を1つに絞り、その課題に効く型から着手することが、事例を自社に活かす最初の一歩になります。

業界によって効きやすい型は変わる

事例を業界別に見ると、効きやすい型に傾向があります。仕事の実態を見せることが強みになる業界と、世界観やブランドで惹きつける業界とで、選ばれる型が分かれるためです。自社と近い業界の事例を先に見ると、現実的な企画に落としやすくなります。

製造業や建設業、運輸業のように、現場の仕事内容が候補者にイメージされにくい業界では、密着・ドキュメント型が効きます。一日の流れや技術の裏側を映すことで、入社後のギャップを減らせます。IT・専門サービスのように人が価値を生む業界では、社員インタビュー型で働く人の考え方や成長環境を伝えると、志望度につながります。知名度が課題になりやすい中小企業やBtoC寄りの企業では、コンセプトや企画もので認知の接点をまず増やす入口が向きます。自社の業界で候補者が抱きやすい不安を打ち消す型を選ぶと、事例の転用がぶれません。

かっこいい採用動画の事例と、効く場面

コンセプトムービー型とリアル志向の2方向で「かっこいい」採用動画が効く採用課題を整理した図
映像美は手段——2社で迷ったとき動画が最後の一押しになると答えた人は87.7%(出典: 採用動画に関する意識調査(2026年))

かっこいい採用動画は、企業の世界観やスケール感を映像美で伝え、候補者の記憶に残す場面で効きます。大手企業のコンセプトムービーに代表される型で、母集団形成や第一想起づくりに向いています。一方で、映像のかっこよさそのものは応募の決め手にはなりにくく、伝える中身とセットで初めて機能します。

「かっこいい採用動画」と検索して出てくる事例の多くは、都市や自社製品を美しく撮り、ナレーションやコピーでメッセージを重ねるコンセプトムービーです。候補者が企業名を覚え、説明会や選考の前に「あの動画の会社だ」と想起する状態をつくります。採用動画に関する意識調査(2026年)では、条件が同じ2社で迷ったとき、動画の有無や質が最終判断に影響すると答えた人が87.7%にのぼりました。内訳は「大きく影響する」が29.1%、「やや影響する」が58.6%で、単独の決定打というより判断を傾ける材料として働いています。かっこいい動画は、この「最後の一押し」で効くと当社は見ています。だからこそ、映像の完成度だけでなく、何を約束する会社なのかが伝わる設計にすべきです。

コンセプトムービー型(ブランドの世界観を伝える)

コンセプトムービー型は、企業の理念やスケールを象徴的な映像で見せ、ブランドとして記憶に残す型です。抽象度が高いぶん、知名度の向上や母集団形成に向きます。採用サイトのトップや説明会の冒頭で流し、候補者の期待値を一気に引き上げる使い方が中心です。

この型は、映像制作の予算やクオリティが成果を左右しやすい型でもあります。世界観だけが独り歩きして具体的な仕事内容が伝わらないと、候補者は「かっこいいけれど、自分が何をするのかは分からない」という状態で止まってしまいます。コンセプトムービーは入口として使い、社員インタビューや密着動画で中身を補う組み合わせが実務では有効です。単体で完結させず、次に見てもらうコンテンツまで設計しておくと、記憶に残す力が応募につながります。採用サイトなら動画の直下に社員紹介や職種別ページへの導線を置く、説明会なら上映直後に現場社員が話す時間を取るなど、次の一手をあらかじめ決めておく運用が現実的です。

リアル志向の「かっこいい」=信頼される型

近年の「かっこいい」は、作り込んだ映像美だけでなく、等身大のリアルさで信頼されるかっこよさへと広がっています。飾らない現場や社員の素の言葉が、かえって候補者の信頼を得る型です。2023年時点で公開されたZ世代向けの調査でも、視聴で「会社の雰囲気や社員の人柄がリアルに伝わった」と感じた人が52.6%を占めました。

過剰な演出より、働く人のリアルが伝わる映像のほうが、入社後のギャップを生みにくいという実利もあります。かっこよさを狙うなら、照明やカメラワークに凝るより、その会社らしい瞬間——チームで議論する場面や、現場で手を動かす姿——を切り取るほうが効きます。当社は、かっこよさは候補者の記憶に残すための手段であって目的ではないと考えています。見栄えを優先して実態と離れるより、等身大の語りをていねいに見せるほうが、結果的に「信頼できる会社」という評価につながります。

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面白い採用動画の事例と、話題化を応募につなげる条件

面白い採用動画は、意外性のある企画で「まず見てもらう」ことに強く、認知が薄い企業の母集団形成に効きます。ラップやパロディなど話題化しやすい切り口が代表例です。ただし話題化と応募は自動でつながらないため、面白さの先に自社を知ってもらう導線を設計することが条件になります。

たとえば、部門どうしが互いの不満をラップにのせてぶつけ合う構成の動画のように、社内の本音を音楽やパロディの形式に載せる企画は、この型の代表例です。両備システムズの「きびだんご採用」は、桃太郎のモチーフを採用ブランディングに使った企画です。いずれも、動画単体の面白さで拡散を狙い、まず認知の接点をつくる型にあたります。こうした企画ものは、知名度が高くない企業が母数を増やす入口として機能します。

企画で振り切る型(話題化・拡散を狙う)

企画で振り切る型は、テンポの良さや意外性で最後まで見てもらい、SNSでの拡散や社内外の話題化を狙う型です。候補者の記憶に引っかかる企画は、社名を知らない相手にも一度で覚えてもらえる点で認知面の強みがあります。企業のギャップ(堅い業界なのにふざけている、など)を意図的に見せると、その意外性が語られる理由になります。

この型で気をつけたいのは、面白さが目的化して自社の魅力が伝わらないケースです。動画は再生されたのに、どんな会社で何ができるのかが残らなければ、応募にはつながりません。企画ものは「見てもらう入口」と割り切り、プロフィールや採用サイトへの導線、続きを知りたくなる情報をセットで用意することが前提になります。

面白さが応募につながる条件

面白い動画を応募につなげる条件は、話題化の熱量を冷めないうちに次の行動へ渡す導線があることです。バズは一過性なので、視聴直後に会社を深く知れる受け皿がないと、認知は増えても応募は伸びません。動画の概要欄や締めで、社員インタビューや事業紹介など「中身が分かるコンテンツ」に誘導する設計が要ります。

採用動画に関する意識調査(2026年)では、視聴後に応募行動へプラスの変化があった人が90.6%を占め、うち26.1%が「実際に応募した」と答えています。一方で「応募意欲は高まったが、実際の応募には至らなかった」人も44.4%いました。関心が生まれた層のほうが、応募まで進んだ層より多いということです。この差を埋めるのは、面白さそのものより、その後に用意された情報の深さだと当社は見ています。面白い動画で関心を持った候補者が、次に見た社員の語りで「この会社なら働ける」と感じて初めて、話題化が応募へと変わります。話題で集めた関心を、実像を伝えるコンテンツで受け止められるかどうかが分かれ道になります。

かっこいい・面白いが逆効果になる境界と回避策

採用動画が逆効果になる主因(ビジョンのみ46.1%・実態乖離40.2%)と公開前の3チェックをまとめた図
逆効果の主因は具体性の欠如と実態乖離。公開前の3チェックで回避(出典: Z世代向け調査・2023年時点公開)

かっこいい・面白い採用動画は、実態と離れた瞬間に逆効果へ転じます。演出が過剰で入社後の現実とギャップが大きいと、志望度をむしろ下げる要因になります。回避策は、見栄えより先に「動画の内容が実際の働き方と一致しているか」を確認することです。

2023年時点で公開されたZ世代向けの調査では、視聴して不満を感じた・志望度が上がらなかった理由として「具体的な話がないビジョンのみの動画」が46.1%、「実態とかけ離れている動画」が40.2%を占めました(Z世代の採用動画データ)。かっこよさや面白さを追ううちに、抽象的なメッセージや盛った演出に寄ると、この不満に直結します。候補者は入社後の生活を判断するために動画を見ており、現実との差を敏感に見抜きます。

演出過多・実態乖離を防ぐ3つのチェック

逆効果を避けるには、公開前に3つの点を確認すると失敗を減らせます。第一に、動画で見せた雰囲気と実際の職場の空気が一致しているか。第二に、かっこいい映像やコピーの裏に、具体的な仕事内容や働く人の言葉があるか。第三に、良い面だけでなく、入社前に知っておくべき現実も含まれているか。判断に迷うときは、動画に出ていない現場社員に完成前の映像を見てもらい、「うちってこんな感じか」と違和感が出ないかを確かめると精度が上がります。

3つ目は、あえて入社前に知っておくべき現実も開示するという考え方です。当社は、都合の良い情報だけを並べた動画は、短期的に応募を集められても、入社後のギャップで早期離職を招きやすくなると見ています。実態を先に伝えておくほうが、入社後の「聞いていた話と違う」を減らせます。見栄えの良さと実態の正直さのバランスが、逆効果を防ぐ境界線になります。

当社の見解:かっこよさは手段、社員の語りを核にする

当社は、かっこよさや面白さは候補者の記憶に残すための手段であって、採用動画の目的ではないと考えています。目的は、候補者が入社後の自分を正しく想像でき、価値観に共感して応募してくれることです。だからこそ、演出よりも先に、経営者や社員自身の言葉——なぜこの会社が存在するのか、どんな価値観で働いているのか——を動画の核に据えるべきだと捉えています。

当社のなにゆえがたりは、経営者や社員の語りを引き出して情報資産として蓄積することを軸にしています。飾った映像より、その人の言葉そのものが持つ説得力を重視するのは、実態と離れた動画が志望度を下げるという調査結果に裏打ちされた判断です。かっこいい・面白いを入口に使いつつ、中身は等身大の語りで固める。この組み合わせが、逆効果を避けながら記憶に残す現実的な設計になります。

採用動画の効果はどれくらい?応募数・志望度・ミスマッチの根拠

認知・比較検討・応募・志望度の採用4段階ごとに採用動画の効果指標を配置したジャーニー図
動画なしは約95%が懸念、視聴後は90.6%が応募行動へ前進(出典: 採用動画に関する意識調査(2026年))

採用動画の効果は、応募行動の後押し・志望度の向上・入社後ミスマッチの低減という3方向で確認されています。近年の調査では、視聴者の約9割が応募行動にプラスの反応を示し、動画がないこと自体が候補者にマイナス印象を与える段階に入りました。効果は「動画を作れば上がる」ではなく、内容が採用課題に合っていることが前提です。

下の表は、採用動画に関する意識調査(2026年)の主要な数値を、採用課題への含意とあわせて当社の視点で整理したものです。数字を並べるだけでなく、それぞれが自社の採用にどう効くかまで読み解けるようにしています。

効果指標(2026年時点) 数値 採用課題への含意(当社の評価)
動画がない企業への懸念 約95%(気にならない4.8%) 動画は加点でなく「ない=減点」の段階に入った
2社比較での判断影響 87.7% 迷ったときの最後の一押しになる
視聴後の応募行動プラス 90.6%(実応募26.1%) 母集団形成に直結する
視聴後の志望度上昇 78.1%(下降5.1%) 志望度も上げるが、実態乖離は逆効果

データ出典: 採用動画に関する意識調査(2026年)(2026年5月22〜29日調査・有効回答333名・20〜40代)。

応募行動・志望度への効果

採用動画は、候補者の応募行動と志望度の両方を押し上げます。視聴後に応募行動へプラスの変化があった人は90.6%で、そのうち約4人に1人が実際に応募まで進みました。志望度についても、上がった人が78.1%を占めています。内訳は「大きく上がった」が18.3%、「やや上がった」が59.8%で、多くは緩やかな加点として働いていました。

当社は、この数字を「動画に一定の力がある」証拠と捉えつつ、内容次第で結果が割れる点に注目しています。志望度が下がった人も5.1%(やや下がった4.2%・大きく下がった0.9%)いるように、効果は動画を作った時点で保証されるものではありません。応募や志望度に効かせるには、型と採用課題を合わせ、実態を正直に見せる設計が欠かせません。

ミスマッチ低減(等身大の情報が効く)

採用動画は、働く実像を事前に見せることで入社後のミスマッチを減らします。候補者が仕事内容や職場の空気を映像で理解できれば、応募段階で自分に合うかを判断でき、入社後のギャップが小さくなります。良い面だけでなく現実も伝える考え方が、定着につながります。

2023年時点で公開されたZ世代向けの調査でも、視聴で「会社の雰囲気や社員の人柄がリアルに伝わった」と感じた人が52.6%を占めました。テキストの求人票では伝わりにくい温度感が、動画では伝わります。ミスマッチ低減を狙うなら、映像の派手さよりも、働く人の言葉と日常の描写に投資するほうが費用対効果は高くなります。

「動画がない」ことの機会損失

採用動画は、あることの加点よりも、ないことの減点が大きい段階に入っています。採用動画が用意されていない企業に対して、約95%が何らかの懸念(情報不足・比較しづらさなど)を示し、「特に気にならない」は4.8%にとどまりました(採用動画に関する意識調査・2026年)。

候補者は複数社を並べて比較しており、動画がない会社は「情報が足りない」「社風が分からない」という理由で選考前に見送られやすくなります。当社は、まずは完璧なかっこいい動画を狙うより、等身大の語りで1本用意し、候補者の判断材料を欠かさないことが先だと考えています。動画がないことによる取りこぼしのほうが、いま多くの企業にとって現実的なリスクです。

事例を自社の採用動画企画に活かす3つの視点

事例を自社に活かす鍵は、真似る対象を「映像の見た目」から「課題への効かせ方」に切り替えることです。型を自社の採用課題から逆算し、単発で終わらせず語りの資産として育て、制作の実務は目的に応じて設計します。この3つの視点で、事例は憧れから実践の材料に変わります。

型を自社の採用課題から逆算する

最初にやるべきは、参考動画を探す前に自社の採用課題を1つに絞ることです。母集団が足りないのか、応募は来るがミスマッチが多いのか、内定辞退が課題なのかで、選ぶべき型が変わります。課題を決めてから、その課題に効いた事例だけを集めると、迷いが減ります。

先の型×採用課題の対応表に戻り、自社の課題の行にある型を軸に企画を組みます。認知が薄いならコンセプトや企画ものを入口に、ミスマッチが課題なら社員インタビューや密着を主役にします。ここで「他社がかっこいい動画で成功したから」という理由で型を選ぶと、課題とずれた動画になりがちです。事例の数を集めることより、自社の課題に合う型を1つ選び切ることが成果を分けます。

単発で終わらせず「語りの資産」に育てる

採用動画は、1本作って終わりにすると効果が続きません。出演した社員が退職・異動すると公開しにくくなり、せっかくの動画が使えなくなるリスクもあります。特定の演出や個人に依存しすぎない、続けられる形にしておくことが、長く効かせるうえで重要になります。

当社は、採用動画を単発の制作物ではなく、経営者や社員の語りを核にした継続的な情報資産として設計することをすすめています。1回のインタビューで引き出した語りは、動画だけでなく、記事や音声、SNS投稿へも展開できます。候補者は選考前に複数の接点で会社を調べるため、動画・テキスト・音声が積み上がっているほど、価値観に共感した応募が集まりやすくなります。当社のなにゆえがたりは、月1回の収録から多媒体へ展開する運用を担い、採用動画を「作って終わり」にしない仕組みを提供しています。

費用・YouTube運用・最新トレンドは別記事で深掘りする

企画の方向性が決まったら、制作の実務は目的に応じて詰めます。制作会社に依頼する際の相場や依頼の進め方は、採用動画の制作相場と依頼先で具体的に整理しています。単発の動画ではなく継続的なチャンネル運用で採用広報を続けたい場合は、YouTube採用チャンネルの活用事例が参考になります。縦型ショートなど最新の表現は流行の移り変わりが速いため、事例を見る際は公開時期もあわせて確認すると、古い企画を避けられます。

よくある質問

採用動画で本当に応募は増えますか?

採用動画に関する意識調査(2026年)では、視聴後に応募行動へプラスの変化があった人が90.6%、実際に応募した人が26.1%でした。ただし、これは動画の型と自社の採用課題が合っていることが前提です。母集団形成が課題なのに丁寧な密着動画だけを作っても、見てもらえなければ応募は増えません。課題に合う型を選ぶことが、効果を出す条件になります。

かっこいい採用動画と面白い採用動画、どちらが効果的ですか?

目的によって変わります。認知や母集団形成が課題なら、話題化しやすい面白い企画やコンセプトムービーが向きます。入社後のミスマッチを減らしたいなら、等身大の社員インタビューや密着が効きます。どちらの型でも、動画の内容が実際の働き方と離れると志望度を下げる要因になるため、見栄えと実態の一致を優先してください。

参考になる採用動画の事例はどこで探せばいいですか?

各企業の採用サイトや公式のYouTubeチャンネルで直接確認するのが確実です。事例集で気になった動画は、企業名で検索して公式の動画にあたると、演出だけでなく実際の伝え方まで把握できます。探すときは「かっこいい」「面白い」で絞るより、自社の採用課題に効く型で絞ると、転用しやすい事例に出会えます。公開時期の新しいものから見ると、現在の候補者の感覚にも近くなります。

採用動画の基礎と作り方は採用動画の企画から制作までの総合ガイドで整理しています。

まとめ

採用動画の事例は、表現の型と効く採用課題を対応させて読むと、自社の企画に転用できます。かっこいい・面白いは候補者の記憶に残す手段であり、実態と離れると志望度を下げる逆効果にもなります。効果を出す前提は、動画がないことの機会損失を埋めつつ、自社の採用課題に合う型を選び切ることです。当社は、応募数という母数だけでなく価値観に共感した候補者を集める"質"を重視し、採用動画を単発で終わらせず経営者や社員の語りを核にした資産として育てる設計をおすすめしています。

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