中小企業にとって、知名度を上げることは重要だと思われがちです。
しかし、実はそうとも限らないんです。
まず、中小企業は限られたリソースで運営されています。
知名度を上げるための施策は、慎重に進めないと、時間やお金が無駄になってしまうことが多いのです。
自社の価値をしっかり作り、それを必要な人に伝え、顧客との信頼関係を築くことが大切です。
それらを戦略的に行った結果、
- マスメディアやSNSで話題になり、
- 知名度が上がっていき
- お付き合いの長いファンが増えて
- 安定的な経営につながっていく
というのが実際の順番だと思います。
この記事では、知名度を上げるための具体的な方法をみたあとに、知名度に頼らず効果的にビジネスを成長させる方法についてみていきたいと思います。
中小企業が知名度を上げるためにマスメディア、SNS活用は有効なのか?
「知名度を上げる」は多くの人に知られることを意味しますが、2つの方法がすぐに浮かびます。
ひとつはマスメディアに取り上げられたり、広告を打つこと。
もうひとつはSNSでバズを起こすこと。
まずはマスメディアについて見ていきましょう。
マスメディアを通じた認知拡大にはPR戦略が必要
テレビ、新聞、雑誌、大手ウェブメディアなどのいわゆるマスメディアに取り上げられれば、一気に多くの人に知られることとなります。
ただし、マスメディアの目的は多くの人が喜ぶ情報を提供すること。そのために「編集」が入ります。あなたの会社が望む通りの取り上げ方をしてくれるとは限りません。
加えて、効果は短期的になりがちです。テレビに取り上げられた飲食店が数日は大繁盛したものの1ヶ月もすれば元通り、なんてことも珍しくありません。
マスメディアを活用して、自分たちの存在を必要な人に適切な形で届けるためには、戦略が必要です。
これがいわゆるPR(パブリックリレーションズ)です。
PRは「宣伝」や「広告」ではありません。
「公衆(Public)」との「関わり(Relations)」からわかるように、PRの定義は以下のとおりです。
パブリックリレーションズとは、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方である。
公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会
PR成功の本質は、
- 自分たちの活動が社会にとってどれだけ価値のあることなのか
- 誰のどんなお悩みを解決するのか
を理解し、かつマスメディアが取り上げやすい形に情報を整えておくことです。
このためにはまず自分たちの価値と顧客について、明確に言語化していく必要があります。この方法は後述します。
一方で広告ですが、これは言わずもがな、お金がものすごくかかります。
そのうえで、その広告がどれくらい成果(問い合わせ、売上、申込み)につながったかがわかりにくいという難点があります。
最近はテレビCMを安価に、かつ効果測定可能にして提供しているサービスも出てきていますが、それでも数十万~数百万円の費用がかかります。
筆者は作る側・出す側、どちらにも関わったことがありますが、3つのパターンがありました。
1つ目はイメージ戦略(それ単体で成果を出す目的でないもの)の一環として大企業が各媒体で広告を出す場合。
2つ目は小さな企業が試みとして雑誌広告を3回出稿して1件も反応が得られなかった場合。
そして3つ目は、ニッチな商品のCMをCSの専門チャンネルで出し、直後に申し込みの電話が鳴り止まなくなった場合。
1つ目はすでにある知名度を土台に、長期的に打っていくものなので、中小企業にはなかなか真似ができません。
2つ目はやってしまいがちな失敗ですが、雑誌側からのオファーに乗っかって戦略なしに行ったケース。
そして3つ目は成功例ですが、この要因を分析すると、
- 視聴者の属性が絞り込まれている専門チャンネルに
- その人たちが欲しがっていることをコンセプトにした商品を
- すぐに申し込みができる電話窓口を用意して打った
ということが言えます。つまり、戦略的に広告を活用した事例です。
以上のように、マスメディアに取り上げられることで知名度を上げることは可能ですが、それなりのハードルがあります。自分たちの価値と狙うべき顧客像を明確にしておかないことには、効果が瞬間的になったり、意図しない文脈で広まってしまったりすることがあり得ます。
中小企業が「SNSでバズを狙う」優先度は低い
SNSで話題になり、注目を集めるという方法も最近ではよく取り上げられます。
しかし、SNSでバズを狙うことにはいくつかの注意点があります。
まず、SNSのアルゴリズムは常に変動しており、どの投稿がバズるかは予測不可能です。
特定のテーマやハッシュタグが一時的に流行ることはあっても、その効果は短期間に限られます。
たとえば、SNSでバズったキャンペーンが一時的に話題になったとしても、数週間後にはその効果が薄れてしまうことも珍しくありません。これはマスメディアへの露出と同じですね。
人間、自分にとって重要でない情報はすぐに忘れるものです。
さらに、SNSでのバズは必ずしもポジティブなものとは限りません。ネガティブな内容や炎上リスクを伴う場合もあります。
SNSはあくまでツールの一つであり、それ自体が目的ではありません。
SNSでのバズを狙うよりも、地道にフォロワーを増やし、信頼を築いていくことが長期的にはより効果的です。
中小企業がはじめに取り組むべきこととは?
このように、マスメディア、SNS、いずれを活用するとしても準備段階が必要であることがわかります。
ではその準備とは具体的にどんなことなのか?
鍵を握るのが、その企業の“なにゆえ”(WHY)です。
“なにゆえ”とは、その企業がもともとなぜ活動を始め、どんなことを目指し、そのために今どんな価値を提供しているのかを総合的に表現するものです。
なにゆえは、7つの空欄を埋めていくことでまとめることができます。
- そもそも「 」としてはじまり、【ミッション】
- いつかは「 」を実現する。【ビジョン】
- そのために今「 」として存在しています。【パーパス】
- 具体的には、「 」な人が【ペルソナ】
- 「 」をする/になるための【ベネフィット】
- 「 」の役割を担っています。【コンセプト】
- そのために「 」を大事にしています。【バリュー】
これをまとめることによって、自分たちの社会的存在意義が明確になり、いつでも誰に対してでも、「わたしたちはこのために存在しています」と伝えることができます。
“なにゆえ”は、自分たちの視点/社会からの視点のどちらも入っているので、他己紹介が可能になります。
「◯◯さんという、~~~な会社があるので、紹介しますね」
この~~~に”なにゆえ”が入ります。
これらは口コミ、マスメディア、SNSで拡がっていくときの共通言語になります。
“なにゆえ”のない事業や企業コンセプトは、他との違いを認知できず価格や性能、納品スピードなどの機能的側面で判断されてしまいがちです。これでは大企業と勝負することになってしまい、苦しくなってきます。
“なにゆえ”はその企業唯一のものです。
大量消費社会から意味消費の時代へと移ってきている今、”なにゆえ”はとても重要です。
私たちが「知名度ゼロでも比較されずに選ばれる」会社づくりの伴走をお手伝いしている理由はここにあります。
共感したり、まさに自社に必要だと感じられた方は、お気軽にご相談ください。
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